一章 桃園の誓い

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ここ、大陸だよ……。この女の子たちが僕を騙してないならだけど。 でも、なんでだ? 俺は改めて三人の女の子たちを見る。目の前には劉備、関羽、張飛という三国志でも有名な武将の名前の女の子たち。それに、幽州とか洛陽といった昔の大陸の土地名を言ってるし。 これは夢か? いや、こんなリアルな夢があってたまるか! トウカ「もしかして、この大陸のこと知らないんじゃないのお兄さん?」 劉備と名乗った女の子が、自分の世界に飛び立っていた俺を現実の世界へと肩をつついて戻すと、何か期待したような瞳を俺に向ける。 「ん?えっと、知識としては知っているけど。俺の知っている知識って漫画とかゲームで培ったものだし、何より俺その時代には生きてないし。」 はぁ……。ほんとこれはどうなってるんだろ。重いため息を漏らしていると、 トウカ「そうだよ。やっぱりそうなんだよ。愛紗ちゃん、鈴々ちゃん。」 劉備と名乗った女の子が、瞳にキラキラと光る星を浮かばせながら、身を乗り出した。 「変な言葉話すし、この国のこと知らないし、それにそれに、服がとっても変だもん!!」 いやいやいや、君らのほうが異常だから。俺のが絶対に普通だ。 劉備と名乗った少女は、嬉々として二人の女の子たちの手を持つ。 アイシャ「この者が、菅輅が言っていた天の御遣いであると?」 てんのみつかい?何だそりゃ? リンリン「鈴々もそんな気がするのだ。お兄ちゃんが天の御遣いなのだ~♪」 トウカ「東方より飛来する流星は、乱世を治める使者の乗り物だって菅輅ちゃんも言ってたし。」 アイシャ「ふむ。確かに占い通りではありますが………」 リンリン「ねぇねぇ、お兄ちゃんが天の御遣いさまなのか?」 やっと俺喋れるんだ…… 「天の御遣いってのは分からないな。ただ、君たちの話を聞いていてわかったことは、少なくとも俺はこの時代、この世界の人間じゃないってことかな。」
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