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「氷室さんから綾さんに贈る、サイズピッタリの”ガラスの靴”ならぬ”ダイヤの婚約指輪”っすよ」
「…陽一さん」
「そうだな。俺の気持ちは確かに今でも変わっていないさ。しかし、綾の幸せを第一に考え――」
「見損なわないで! 華やかな世界で豪華絢爛な生活を送って、テレビの中のキャラクターの、ミンナから愛される【AYA】より、あたしは、今のみんなと一緒にいたかった。ドラマを抜けたことで、みんなに迷惑かけちゃった。エレナに小畑社長。徹さんだって野上さんだって桜さんだって……」
「……」
もう一度懐に手を入れた雄介さんが、あたしと陽一さんのちょうど中間に立った。
「さっきの電話ですけどね綾さん。後で説明しますけど…いい話っすよ」
何のことか分からないけど、あたしにはそう言って笑顔を見せてくれた。
今度は陽一さんに向きを変える。
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