89人が本棚に入れています
本棚に追加
「雅人」
私は雅人を呼んで、両親の元に近づいていくと、雅人を少し睨む。
「雅人、お父さんとお母さんの手を離しちゃダメって言ったでしょ。危なかったでしょ」
私が叱ると
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
雅人は小さく謝って、しょぼんとして、お父さんに抱きついてしまう。
「次からは気を付けようね。今日は帰ったら弾いてあげるから」
私はそう言って、雅人の頭をなでてあげると
「うん、お姉ちゃんありがとう」
雅人は嬉しそうに顔を上げる。
「やった、久々に聴ける」
雅紀叔父様の嬉しそうな声が聞こえてくるけど、私も両親も聞こえないフリをする。
「本当にありがとうございました」
私が男の子にお礼を言うと、私とお母さんの事を見ていたのか、ちょっと呆然としていた。
「あらっ?あなた、この前ぶつかっちゃった子よね?」
お母さんはそう言って首を傾げる。
「あっ、はい」
男の子はまだ呆然としつて頷く。私とお父さんが不思議そうにしている。
「ほら、この前言ったじゃない?スーパーでぶつかっちゃった子がいたって」
「ああ、そう言えば」
最初のコメントを投稿しよう!