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お母さんが言った事にお父さんは納得している。
「あなたも今日が入学式なのね。うちの子もなの・・・柏木美保と言うの。宜しくね」
お母さんがにっこりとして言うと、男の子もちょっと慌てて
「僕は里中修一です。宜しくお願いします」
男の子・・・里中くんはそう言って礼儀正しく自己紹介する。
里中修一くんかぁ・・・礼儀正しくて、好印象。私の周りにいた男の子は・・・あんまりにも思い出したくなくて、思い出そうとしていた思考を振り払う。
そして、そんな私達一家のやりとりを見ていた、雅紀叔父様の近くに来ていた百合さんが、雅紀叔父様になにか耳打ちをしていた。
「そろそろ入学式が始まります。生徒の皆さんは教室に入り、御父兄の皆様は講堂の方へご移動頂けますようお願い致します」
雅紀叔父様はそう声をかけ始める・・・雅紀叔父様も学院長らしくしている時はカッコいいのに・・・家族の事になると一気にキャラが崩れる。
「あら、もうそんな時間ね。美保、里中くん行ってらっしゃい」
「行っておいで」
両親がそう言って私達を送り出す。
「行ってきます」
「はい。失礼します」
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