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「若先生、いつまで自分のお子さんを眺めてるんですか」
看護師さんがそんな事を叫んでる。私達が驚いて、隣を見ると・・・白衣の先生がガラスに近づいて、美保の隣にいる男の子を嬉しそうに見てる。その顔は本当に幸せそう。
「修吾さん・・・そんなに見てたら、修一だけじゃなく、他の赤ちゃんも安心して眠れないでしょ。ちゃんと仕事しないなら、修一を私の部屋に連れて行くからね」
先生の後ろに病院着を来た女性が呆れ顔で立っている。
「瑠衣」
後ろを振り返った先生は、女性を認めて、明らかに動揺してる。
「大体、外科医なのに、なんでここをうろうろしているの。患者さんや職員さん達に示しがつかないわ。仕事に戻って下さい。本気で修一を連れて行くわよ」
先生の奥さんはかなり強気な態度に出てる。ちょっと先生が気の毒に思える。
「・・・分かったよ。・・・せっかく、修一の姿が見れたのに。」
先生はぶつぶつ言いながら、外科病棟の方へと歩いていく。奥さんは、そんな旦那さんを笑いながら見送っている。
「・・・うちの主人がお騒がせ致しました。」
奥さんが私達に謝ってくる。
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