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「…ぃ
おいって!」
はっとして顔を上げると、心配そうに俺を見つめる美朱の顔が眼に入る。
「どうしたのか?
何だか凄く痛そうな顔をしているが。」
美朱の大きな瞳で見つめられると、全てを見透かされてしまうのではないかという錯覚に陥る。
まぁ、俺に疚しい気持ちがあるからそう感じるのかもしれないが…
「いえ、何もありませんよ。痛いところなどありませんし。」
「そうか。それならいいんだが。
よくわからんが、元気だせよ。」
そう言ってふわりと俺の頭を撫でた。
その手は柔らかく、優しく俺の髪を滑り降りる。すごく懐かしくて、心地良かった。
それにしても…
ついさっきまで、警戒心丸出しで今にも逃げ出しそうな勢いだったのに、もう擦り寄ってきそうなまでに心を許している。
ホントに、相変わらず猫みたいな奴だ。
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