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入学式の長い校長の話も終わり、今はクラスで担任が来るのを待っている時間。回りは雑談や寝ているものが多いが一人だけもぞもぞしている生徒が一名。もちろん水月だ。
しかし水月がもぞもぞしている理由はけっしてトイレではない。
服装である。
この学校は黒色と朱色をメインとした制服である。しかしそこも理由ではない。
一般の“男子生徒”と服装がちがうのだ。
この事件の発端は朝の校長室で起きた。
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「あの~なぜこんな格好に?入学式でコスプレパーティーは無いですよね?」
「はい。無いですよ。」
「じゃあ何で普通に話せるんですか?おかしいですよね僕の格好。」
「いえ。全然似合ってますよ。」
恥ずかしそうに下を向く水月。
そこに蝶が入ってきた。
「ルイス、入るぞ。……………おい。」
「はい?」
「水月は何処だ?なぜ関係ない生徒がいる」
ルイスは少しにやけていた。
「彼女……じゃなかった。彼が水月さんですよ。」
蝶は少しあきれ顔だった。しかし水月が蝶の方に振り向いた瞬間あきれ顔から唖然とした顔になった。
「お前………何でそんな格好をしている?」
そこにはスカートの縁を押さえながら恥ずかしそうに下を向いている“女子”の制服をきた水月がいた。
「だってルイスさんが間違えたって…」
そう。ルイスは水月が女子だと思っていたので女子用の制服を注文してしまったのだ。
「おかしいですよね?僕の格好。」
蝶は少し黙っていたが…
「可愛い……」
「はい?」
蝶の瞳がいつもの鋭さを失っていた。
「蝶さん?」
その瞬間蝶は水月に抱きついた。
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