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「あまり目立ちたくない……」
男なのに女の格好をしている水月にとってここでトラブルに巻き込まれるなんて自殺行為に等しい。
しかし……
「何すんのよ!!」
教室の後ろの方でなにかが起きたようだ。
辺りがざわめくなか水月も少し気になり近づいてみた。
「ちょっと何すんのよ!!」
「何したってなぁ~人にぶつかっといて謝らねーって、なー」
「そーだぜお前、このマーニ・キンナリー様に逆らおーてのか?」
「逆らうもなにもそっちがぶつかってきたんじゃない!」
どうやら女の子が数人の男子に絡まれてるようだ。
女の子はピンクのロングストレートをツインテールにしている。身長はやや高め。華奢な体型だが、スタイルは良く出ているところは出て、引っ込むとこは引っ込んでいる。幼さも残るがかなりの美人タイプの顔だ。
対するマーニと呼ばれている男子は赤毛のロングヘアーで顔は良いのだがチビデブである。
「だいたいそんな大勢で移動してたら邪魔じゃない!」
「分かってないね~僕のお父さんはこの国の上位に食い込むほどの貴族なんだよ。僕はその息子。分かる?ム・ス・コ。その僕が“汚れた血のハーフエルフ”なんかに場所を譲ると思う?」
~ここでちょっと豆知識~
この世界では人間とエルフが存在する。一昔前までは人間は人間。エルフはエルフとしか結婚できなかった。しかし時がたつにつれその束縛は解かれた。しかしそれは一部でしかなく、ほとんどはそれをよしとは思わなかった。だからハーフエルフのことを“汚れた血”と呼んでいる。
~以上豆知識でした~
女の子はその言葉を聞いた瞬間涙目になった。それをチャンスとしたのか男子たちは罵声を浴びせ始めた。
「そうたぜこの汚れた血が!」
「汚れた血がこっち来んなよ!」
「だいたい汚れた血が学校来んなよな!」
女の子はホントに泣き出しそうなほど言われたが、けっして涙を流さなかった。
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