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「桂ぁ、お前にそーゆー趣味があったとはなぁ」
「し、晋作っ!あまり人の嗜好に口出しはいけないよ!桂くん、気にしなくていいよ?……そりゃあ少しは驚いたけどもさ、ね?」
今にも吹き出しそうな晋作と、庇おうにもうまく庇えきれない稔麿に桂は憤慨でさっきよりも顔を赤くする。
それはもう、いつ湯気が出てもおかしくない程に。
「そんなわけないだろっ!!
もう長年の付き合いなのだから、
私にそういう……その……だな、
だ、男色の気があるかどうかくらいわかるだろう!!」
「ほうほう。ならなんで“彼”に見とれていたんだ?」
晋作はニヤニヤ顔が治まらないままに続ける。
「それは……、そのだなっ!」
そこまで言って桂は口ごもると、顔を伏せた。
顔の赤みはまだ治まらない。
そんな桂を尻目に、晋作と稔麿の二人は一度顔を見合わせ、にやりと笑う。
「その、なんなんだ?」
「ふふふ。それは私も続きが気になるねぇ」
晋作と稔麿は自分達の後ろで、もごもごしながら付いて来る桂を振り返り、答えを急かした。
「……その……。
おっ、男にしとくのは勿体ないと思ったんだよっ!女だったらさぞかし可憐なのだろうなと……」
桂は、最初の勇んだ口調とは裏腹に、最後は消え入りそうな声で答えた。
──なんでこんな時ばかり
息が合うのだろうか……。
くそう!と心の中で悪態をつく。
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