5人が本棚に入れています
本棚に追加
登場人物に涙を流させて読者の涙を誘うのは、ある意味簡単だ。
登場人物に血を流させて読者に痛みを伝えるのも、簡単だろう。
登場人物を笑わせて読者を共に笑顔にするのも、多分簡単なはずだ。
問題なのは、登場人物が笑っているのに読者を泣かせたり、登場人物がダメージを受けているのに読者を笑わせたりすることが、いかに難しいかということ。
そして、それをさり気なくこなしている作家の力には、意外と気付きづらいということだ。
だが、それは特別なことでもなんでもない。
生きている人間がいて、意思疎通をしている限り、当たり前に起きていることなのだから。
演劇などにおいて、「普通に歩いたり、普通に呼吸するだけの演技」が、実は一番難しいという。
まぁ、詰まるところ、最も当たり前なことが最も認識しづらいという、陳腐な結末に落ち着く訳で。
『当たり前のこと』
09/12/04
最初のコメントを投稿しよう!