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ピッ。
『駿君なんて?』
『わかったって』
『やったじゃん!!やっぱり誘って良かったでしょ?』
里沙と一緒にいた。
『誘えたのは良いけど、不安だよぉ』
『何弱気になってんの。大丈夫だって』
何でこんなことになったのかというと、さかのぼること1時間前。陽平の親戚のとこから帰って来て一緒に私の家で休憩してるとこで、私が里沙に聞いたんだ。
『こないだの海で駿介に何聞かれたの?』
『やっぱり気になる?』
『うん…それは』
私は、クッションで顔を半分隠しながら言った。
『何話したかなぁ?あっ!そうそう。゛好きです。付き合って下さい゛って言われたよ』
『ウソだ!!』
私は、身を乗り出した。
『ウソだよ~』
『ちょっと、脅かさないでよ~』
『記憶を無くしても、駿君は人の彼女に告るような子じゃないよ。かえでだってわかってるでしょ』
『それは、そうだけど…』
『ねぇ?いきなりだけど、明日デートに誘ってみたら?』
『むり、ムリ、無理』
『なんでよ?』
『だって、なんか断られそうで怖いもん。それに、嫌われたら嫌だし』
『はぁ~、あんたねぇ』
里沙は、おでこに手を当てながらため息をついた。
『相手が自分のこと好きじゃないと自分も相手を好きじゃないの?相手が自分を好きだから好きになったんじゃなくて自分が相手を好きになったから好きなんでしょ?相手の気持ちで悩む前にまず自分が気持ちを伝えなきゃ自分から好きになった以上、自分から行動しなきゃ、相手の気持ちも動かないよ。これはうちのお母さんの受け売りだけど』
『里沙…』
『まぁそんなお母さんも、実家に挨拶に来たお父さんの靴が揃ってたから結婚したらしいけど』
『何それ~』
やっぱり、里沙は私の親友だ。いつも私の力になってくれる。いつも、背中を推してくれる。
『だからさ。ね?』
『…頑張ってみる』
私は携帯を取り出して、駿介に電話した。
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