0人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
『ちょっと待ってよ。里沙早く早く!』
『ゴメン、ゴメン』
3人は、教室を出て2つ隣の教室に向かった。そこにも、小学校からの友達が3人。従姉弟の岩尾なつみ、里沙の幼なじみの七星悠貴そして、高嶺陽平。
『陽平、悠貴、なっちゃん。めし行くぞ』
『来んの遅せーんだよ、駿介』
と悠貴。
『文句なら里沙に言え』
『ゴメンね、悠貴』
と里沙。
『なら仕方ないな』
『出たよ。悠貴の里沙コン』
陽平が茶化す。
『羨ましいなぁ。私もそんくらい想ってもらいたいね』
となっちゃんは陽平を見る。陽平は知らんぷりを決め込む。
『はいはい、早くお昼行こうよ』
かえでの言葉にみんな腰を上げ、学食へ向かった。1時間半の昼休みが終わり、午後の授業が開始されたが全部寝たから覚えてない。ホールルームも終わり、かえでは部活に行った。俺はというと特にやることもなく、教室でかえでの部活が終わるのを待つ。
『あっ!!俺明日、日直だわ。面倒くせなぁ』
なんてことを思っていると、
『駿兄ちゃん』
背後から孟の声がした。
『えっ!?』
俺はビクッとして振り向くと、そこには孟と里沙が立っていた。
『迷子になってたよ。ちゃんとしなくちゃ。お兄ちゃん』
と里沙に少し怒られた。
『校門にいろって言っといたんだが』
『宿題わからないから教えて』
『だってさ。どうせ暇なんだからいいでしょ?』
『はいはい。言われなくても教えるっつーの』
『よかったね。孟君』
と里沙は孟に言うと
『じゃあ、私先生に呼ばれてるから。バイバイ。あっ!!いつも思うんだけど、孟君はお兄ちゃんに似てなくてよかったね』
そう言って笑いながら教室を出ようとする背中に
『お前も言うかよ』
と言おうと思ったが、抑え孟を横の机に座らせ宿題を始めた。しばらくして、教室が斜陽で朱に染まった。
『そろそろ行くか。孟』
『うん』
玄関に行くと、かえではもう待っていた。
『おっ、孟も一緒かぁ、耕平は?』
『さぁ?校門あたりで待ってんじゃない。部活も終わってるだろうし』
耕平も部活に入ってるが美術部のため1時間ほどで終わる。
『耕平兄ちゃんなら先に帰って、夕ご飯作るんだって』
『それなら、早く言えよ。帰るぞ。あと、明日日直だから先行くわ』
『オッケー。孟達は任せて。あっ!!ねーどっか寄ってかない?』
とかえでが提案すると
『コーラ飲みたい。アイス食べたい』
孟がハシャいだ。
『あ~、わかったわかった』
俺は財布を確認した。
最初のコメントを投稿しよう!