零れる想い

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『ごちそう様でした』 あの後結局、かえでと孟に振り回されて財布の中はすっからかんだ。 『耕平兄ちゃんゲームしよ』 『父さんが居ないからってあんまりやり過ぎるなよ』 と俺は夕食の片づけをしながら言った。今日から父さんは、学会の発表と大学の教授会議で1週間帰ってこない。というわけで3人で家事をやる。まぁだいたいは俺がやるわけたが。 『孟、風呂入るぞ』 『は~い』 3人とも風呂に入り終え、リビングでテレビを見た後孟を寝かせ部屋に戻り、課題を済ませベッドに入った。 不思議な夢を見た。どこからともなく鈴の音が聞こえる。辺り一面は押し潰されそうな闇。そんな中で足下が眩しい。見るとパズルがある。光輝く白いパズル。絵もなければ、模様もない真っ白なパズル。俺はそれを手に取り、持ち上げる。すると、1ピースだけ外れ深い闇に消えていった。そこで耳をつんざく音に現実へと戻された。背伸びをして一言。 『んん……ダルいな日直』 日直の日は普段より1時間早く起きる。が今日は朝食を作らなければいけないためさらに1時間早い。リビングに向かい、キッチンに入り朝食を作る。元々あまり食べる人間が居ないため多く作る必要はない。さっさと作って自分の分の朝食を食べ、学校に向かう。 『今日も1日授業受けて、買い物して』 と色々考え事をしながら教室に入り、仕事に取りかかる。花瓶の水を替え、金魚にエサをやり、軽く机を並べる。時間が経つにつれ教室も生徒が増え始め、騒がしくなり出す。俺は自分の机に座り、ボーっとしていると、
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