69人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、戸山は俺の胸に顔を埋める。
泣いているのか?
まぁ無理もないか
何処だか分からない所を一人で歩き続けたんだ
恐怖、孤独、不安・・そして、不信
それらが心を支配するのは時間の問題だったはず
そして、10分後・・・
「藤井、ありがとう・・・もうそろそろ離してくれないか?」
戸山は静かにそう呟く。
俺はその言葉に従い、手を離す。
「もう大丈夫なのか?」
俺はそう尋ねる。
「ああ・・・
少し泣いたら、すっきりした。
それにおまえが一緒にいてくれるんだ。
大丈夫、まだ頑張れる。」
戸山はそう答える。
心が強い奴だな
俺なんかもう折れそうなのに・・・
強がっているだけか?
俺を心配させないようにする為に
「なら、そろそろ行こうか?
日が落ちる前に少しでも人里に出たい。
それとも、少し休むか?」
俺はそう尋ねる。
「私なら大丈夫だ、先を急ごう。
仲間の捜索は人里に出てからでも遅くないだろう。
まずは、情報が欲しい。」
戸山はそう答える。
それから俺達は道無き道・・・
おそらく最近人が通って無いと思われる道を歩き出す。
何処を見ても、道らしい道がない
獣道らしき道はあるが、さすがに危険だ
何が起こるか分からない異国の森なら・・・
もし、此処が俺達の常識が通用しない所なら尚更だ
川なんかがあれば話は別なんだが
なかなか見付からないな
とりあえず、下るしかない
最初のコメントを投稿しよう!