第1話 魔を戒する者

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主をよく見ると、服の背中側に二つの穴があり、そこから肌が見える。 黒き羽は背中から直接、生えているようだ。 もしかして、悪魔なのか? 「大丈夫、大丈夫。 私が頼んであげるから。 あんた達は何にも心配しなくていいよ。」 主はそう言って、さらに強く腕を引っ張る。 これは好意なのか? 何か欲望のようにも感じる だが、主が本当に悪魔なら、悪魔を知る良い機会かもしれないな 混沌を司ると言われている悪魔にも善意はあるのか? 本当に自分達の欲望のままに行動しているのか? 俺はそう考え、大人しくついて行く。 だが、戸山は何処か不審そうな様子だ。 「おばさんがこう言ってるんだし、大丈夫だって。 ほら、早く行こうぜ。 俺を信用しろ。」 俺は戸山をそう説得する。 考えれば、俺も悪魔と何ら変わらないのかもしれない 戸山を騙してでも、コイツらの手の内を知りたいと思っているんだからな だが、生き抜く事は欲望であり、使命でもあり、仲間との約束でもある そして、主はある家の前で立ち止まる。
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