曇雪

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――…よし。 大臣は決意を固めた。 笹雪に全て話そう、という決意だ。 いつの間にか牛車は邸に着いていて、主人が出て来ないことを気に掛けてか、従者が簾を持ち上げて中を伺っていた。 「すいません、声を掛けたのですが、なかなか出ていらっしゃらないから……」 勝手に覗かせて頂きました。 申し訳なさそうに謝る従者に、構わないと首を振る。 心配を掛けてしまったことに逆に罪悪感を覚えて、大臣は彼に謝り返した。 「すまなかったな、心配を掛けたようだ」 「そんな、殿が謝られることではありません」 覗いた私が悪いのです。 年若い従者が必死に否定する様は、ある人を思い出させる。 大臣はふっと微笑んだ。
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