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ああ、そうか。
この人は頭をぶつけたんだな。
その時私はそう思いました。
じゃあいた仕方がない。
家族の方に頑張ってもらおう、と思い、あなた家はどちらですか?と聞きました。
するとその人は人差し指を立てて上を指差しました。
目線だけでその指の指す方向を見ましたが、そこには無数の星がまたたく夜空しかありませんでした。
「えーと、もう少し高いところなんですか?」
「高いっていうか天界。」
ああ、これは末期だ。
早急に病院と連絡をとらねば。
「ちなみに何で帰るんですか?」
「ああ!そうだそうだ。
それを忘れていたよ。」
「……?」
「きみ、僕をきみの家に泊まらせてくれないかい?」
すみません、お断わりします。とやんわりと断るとその人は、いやまじでお願いしますって、今の僕は家も金もないんだよー。とかいう風に懇願してきたわけです。
「とっとりあえず顔近いので離れてください。」
「ようし、じゃあ離したら泊まらしてくれるかい?」
「何言ってるんですか!それとこれとは話が別で……え?」
いきなりその人はぽすっと私の肩に額を乗せました。
えっとかちょっとか声にならない声を出していた私を無視してその人はこの台詞を発しそのまま動かなくなりました。
「…………お腹がすいた。」
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