待てなかった死体

せっかちな死体

彼は喋る事を諦めて立ち上がろうとしたのだろう。

元々、信じていない偽家族だ。しかし、彼の身体の殆どの器官は、既に『痺れ』に支配されていた。男は、後妻以外誰も気付かない程度に痺れに抵抗して、ゴトンという音を立ててフグ刺しに顔面から落下した。

後に後妻語った。
『何か主人の様子が変であると気付いた時、既に手遅れでした。』
と。