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さらに、店にしてみればは、最悪な事に救急隊員が、男の様子を見るなり、警察へ連絡してしまった。事件性があるからだ。
フグ刺しに顔面を突っ込んでいるわけだから、救急隊員にしてみれば、警察に連絡しない方が難しいと言うものだ。
可哀想なその店は、元々有名なだけに、一番最悪な形で一躍超有名になってしまった。店の出したフグを食べている途中で、一人の男が死んでしまったのだから、後にマスコミは大喜びで事件を書き立てる事になる。
監察医が解剖を始められない理由はそこにあった。
フグを食べて死んだわけだから、当然検死を行なう必要があった。
しかし、店の経営者と、遺族との間に今だ火花が飛びかっている。解剖に同意をしてもらえないわけだ。
遺族は損害賠償の訴訟手続きをしてやると罵る。店はあんたの家族が毒を盛ったんじゃないかと言い出して、取っ組み合いの喧嘩を始める寸前に警察官達に止められる始末だ。
店の主張は一見して、無茶苦茶なように思うだろう。しかし、その男は日本有数の金持ちであった。遺産目当てに人殺しが起こっても一向に不思議はないと言う訳だ。
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