御厨邸の守り神

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その巨大過ぎる扉の前に、綺麗な女性が佇んでいた。 翠婦人だ。 「お疲れ様です。 わざわざお呼びたてしてすみませんでした。 車は快適でしたか?」 翠婦人は僕達みたいな若僧にも、丁寧に挨拶してくれた。 「快適でした。ぐっすり寝てしまいました」 僕は心の底から返事をした。 本当に快適だった。 「こちらの方が……」 翠婦人はあかりさんを見て言った。 「はじめまして! 福岡県警の倉橋あかりです」 事前に電話を入れて、あかりさんが同行する旨を伝えていたので、自己紹介は問題なく終わった。 「お迎え有り難うございます。 正直に白状すると場所がよく分からなくて……」 僕は恐縮しながらお迎えの御礼を言った。 僕たちはあからさまな高級車に乗り込んで、ここまで連れて来てもらった。
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