御厨邸の守り神

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弁護士は一瞬作り笑顔を崩したが、すぐに笑顔を取り戻した。 年は四十半ばくらい。弁護士としても、経験を積んでいるんだろう。 素早く笑顔を取り繕うのは、それなりの経験値が必要だ。 「いやいや、流石に刑事さんは違いますね。 ただ、この話は少し複雑でしてね」 弁護士は困ったように頭を掻いた。 「後で話しますよ。 それより二人とも、ここの絵をご覧になりましたか? 実に見事だ」 絵の話をされても、僕は全く解らないので、愛想笑いでごまかした。 あかりさんはさらに上手で、軽くあしらった。 「私のほうが上手いです」 …… 元々こういう人だろとツッコミを入れるのは止めたほうがよろしいかと思う。 命の保障はない。
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