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「それなんですがね」
弁護士は言った。
「不二男氏は、遺産を譲るのは、一人だけだと……」
まさに、骨肉争いの起きそうな内容だ。
「しかし、遺言の内容はまだ公開されてないのでしょう?」
あかりさんが確認した。
「そうです。
不二男氏が本当の事を言ってなければ、あまり意味がないでしょう。
しかし、今回見つかった遺言は、封筒に封がされてなかったのです。
そこで第一発見者の翠さんが……」
弁護士の言葉を翠婦人が申し訳なさそうに俯いて、言葉を引き取った。
「読んでしまいました」
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