御厨邸の守り神

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あかりさんが少し困った顔をして翠婦人に訊いた。 「読んじゃったんですか?」 僕は一人話題に取り残された。恥ずかしながら、何が問題なのかわからない…… 恥を忍んで確認した。 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。 「ちょっと待ってください。 遺言って読んでは無効なんですか?」 弁護士とあかりさんは、役立たずの探偵助手に、憐れみの表情を露にした。 それでもあかりさんとは違い、この弁護士は、優しく答えてくれた。 「今回のような、財産分与に関する遺言の場合は、通常は分与とは関連のない第三者が保管します。 そして原則、分与に関連がある人が全員立ち会いの元公開されます。 遺言の改ざんを防ぐ為です」
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