御厨邸の守り神

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弁護士はわざとらしく困った顔をしてみせた。 「翠さんも、詳しい事をご存じなかったのです」 弁護士の言葉に翠婦人は俯いている。 僕は翠婦人が嘘をついているようには見えなかった。 あかりさんは怪しんでいるようだ。 僕はあかりさんを無視して答えた。 「知らなかったなら、仕方ないですよ。 僕も知らなかったですから」 あかりさんは納得がいかかったようだ。 「ちょっとごめんなさい」 あかりさんは弁護士と翠婦人に一言断って僕を連れ出した。 取り残された弁護士と翠婦人が、チラリチラリとこちらを覗いている。
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