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何よりこの遺言には、特長があった。
内容には後ほど触れる事にして、まずこの特長を書く必要があるだろう。
一枚目にはパソコンか、ワープロなどの活字体で書かれた遺言部分。
二枚目は不二男氏のサインだけ。
はっきり言って不自然だ。
翠婦人が遺言を読んでしまった事は予想以上に大問題だ。
翠婦人なら、不二男の筆跡を真似て、遺言を書く事ができるだろうからだ。
パソコンを使った遺言部分は、誰にでも書けるし、筆跡は真似できないわけではないだろう。
弁護士は鑑定結果を発表できる事が、この上ない喜びだと言わんばかりの笑顔で話を続ける。
「結果から、申し上げましょう。
この筆跡は不二男の筆跡に非常に似ています」
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