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弁護士は少し落ち着いて僕の話しを聞く態勢を整えた。
「つまり、この偽の遺言を書いた人物は、自分に入るべき財産を確保しようとしたんです。
慈善事業への寄付も、翠婦人を会長に就任させようとするのも、財産分与が公平になった事をカムフラージュする為です。
だいたい、慈善事業がこの国だけで幾つあると思いますか?
その事業とは具体的に何ですか?
翠婦人を会長にする件も同様です。
財産さえ分与されれば構わないと考えているはずなのです」
僕の説明で弁護士が落ち着いてくると、今度はあかりさんが怒り出した。
「それじゃ名探偵助手先生は、翠婦人を容疑者リストからはずすと?」
「いやいや、それも違うね、あかりさん」
僕もあかりさんに言い返した。
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