御厨邸の守り神

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純子さんは短い前髪を触りながら、恥ずかしそうに自己紹介した。 「佐々岡純子です」 クリッとした大きな目があちこちに動いている。 人見知りする方なのだろう。 彼女の仕種は、とても可愛いらしかった。 「えぇっと、ここがエントリャ…… ……エントランスです」 会議に使った本棚の部屋を出て直ぐの場所だ。 玄関の大扉から見て左手の一番奥が本棚の部屋だ。 ちなみにこの時純子さんは言葉を噛んだ事を悔しがり、足をバタバタとさせながら『噛んじゃった!』と小声で言った。 あかりさんもさっきまでとうって変わって、純子さんの可愛い仕種に和んでいるようだ。 エントランスは二階まで吹き抜けになっていて、大きなシャンデリアが天井に縦に三つ並んでいた。
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