からくり屋敷の隠し扉

2/17
前へ
/182ページ
次へ
恥を忍んで白状すれば、僕は建築物の様式には決して明るい方ではない。 個人宅としては、明らかに規格外な御厨邸を表現する際、僕のボキャブラリーでは、『大きなお城』が精一杯だ。 御厨邸の一階は、簡単な落書きの図面の写真が一枚きりしか、資料がなかった。 我が探偵事務所の管理体制の不備を心からお詫び致します。 ただ、実際の図面から『階段』が欠落しているのは、階段が目に見える場所から、隠れていたからでもある事を理解していただけると有難い。 実際、吹き抜けのエントランスからは、二階部分の確認は出来たが、肝心の階段は見当たらず、純子さんに確認しなければならなかった。 御厨不二男氏は、政界の大物や、金持ち仲間を集めて、時折パーティーを開いていたそうだ。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加