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純子さんも心なしか楽しそうに、秘密の扉に案内してくれた。
エントランスをグルリと一周し、僕達は本棚の部屋の前辺りまで戻って来ていた。
図書室の中央にしかない扉と本棚の部屋の扉の間には、縦長い木目張りの壁が規則正しく並んでいる。
純子さんが得意気に説明しようとした瞬間、あかりさんが言った。
「おかしいわね。間取りが変よ。
ねぇ純子ちゃん。
この辺りに何かあるんじゃない?」
あかりさんが指を 指した辺りは、僕が見る限り、ただの立派な壁板だった。
純子さんは面白くなさそうにシュンと肩を落して、言った。
「……
そこが隠し扉です……」
元気をなくした純子さんをあかりさんが気遣い、なんとあのあかりさんが謝った。
「ごめんね。純子ちゃん、驚愕させたかったよね」
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