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鍵を管理するのは、屋敷の当主である不二男氏の仕事だった。
不二男氏が『不在』である今、御厨邸は翠婦人の管理下にある。
御厨邸の建物の中は、紹介出来る範囲は紹介したと思う。
純子さんは額の汗を丁寧に白いハンカチで拭いながら言った。
「この家に住み込みで働いてる私でさえ、迷ってしまいますから」
純子さんなら、迷っても不思議はないと思った。
あかりさんもそう思っている。
僕に霊感はないが、それだけは断言出来た。
御厨邸一階に、再び移動して、今度は敷地内を案内してもらった。
高い壁に囲われた敷地は、門から続く長い道を通り、御厨邸の本宅に辿り着く。
本宅の東側に駐車場があった。
高そうな車が沢山止まっている。
僕にわかるのは、ベンツだけだ。
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