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良太郎は構わず話し出す。
「いやいや、でも変わっているのは、訓太だけじゃないよ、安心してくれ。」
「……」
こうなると手が付けられないので、沈黙で話を促した。
今は黙って聞くのが一番だ。
「いやぁ、変わった夢だった。なんせフグを食べて倒れてね、解剖されそうなになる夢だよ……
まるでスティーブン・キングの『第四解剖室』のようだった。解剖される前に目覚め辺りも似てる。
もっとも『第四解剖室』では、生きてる事を解剖される直前で、一人の少年が気付いてくれるわけだから、目が覚めるのと少し違うけどね。
あれは蛇の毒だし、僕の心臓は止まっていたし……」
茶色の短髪をツンツンに立て、左耳にはピアスを開けたチャラチャラとしたこの男は、意外に読者家だ。
長年の付き合いがなければ、良太郎の会話にはついていけない。
再び沈黙で会話を促すと良太郎は趣に言った。
「訓太……
もうすぐ依頼がくるよ……
僕が見た夢の事件が……」
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