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良太郎には、良太郎にしかわからない、霊感と呼ばれる能力がある。
これだけ言えば、なんと怪しい表現だろう。
話せば長くなるので、ここでの詳しい説明は省く事にするが、良太郎の霊感は、女の直感に毛と、手と、足と、頭が生えたくらいに思ってもらいたい。
余計解り難いか……
早い話が、無意識の内に論理的思考を行なう事なのだが、当の本人にその自覚がない為、――当然だ。無意識に行なわれているのだから――それを霊感と呼んでいるというわけだ。
したがって、霊感商法や、怪しげなテレビに出ている人達とは、全くの別のものだ。
しかし事務所の名前は良太郎の強い希望により、『霊能力探偵・片桐探偵事務所』になった。
怪しい……
怪しすぎる……
客なんて来やしないだろう……
「早くお客さん来ないかな」
呑気な声で、的外れな事を平気で言った後、良太郎はまた眠りに就いた。
仕方ないので、僕は煙草を買いに行く事にした。
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