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「訓太兄ちゃん!
うちのお客さんの死体が逃げちゃった!
どうしよう!」
僕の時間が一瞬だけ止まり、すぐに間抜けな声で聞き返した。
「はあぁ?」
周りの人達も僕と同様にポカンとしていたが、やがて関わるのは、嫌だとばかりに通り過ぎていった。
仕方がないので、取りあえず、タンコウハイツに連れて行く事にした。
タンコウハイツの二階、階段を上がって直ぐの三十一号室の中で、我らが探偵、良太郎がインスタントコーヒーを三つ用意して待っていた。
福岡にいた頃、良太郎が健吾と話す事はなかったはずだ。
しかし、顔を知らない間ではない良太郎が、福岡弁で優しく話かけた。
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