御厨家の人々 (翠婦人の長い長い愚痴)

2/16

144人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
さて、御厨婦人と会う手筈は整ったわけだが、何処で待ち合わせしようか? 二〇〇五年七月十七日。当時、僕たちはまだ、事務所を持っていなかった。 ホームページは今や、お悩み相談所に成り下がり、探偵事務所としての機能さえ果たしていない。 こんな事務所の姿は、今回に限らなくても見せたくないし、特に今回の依頼は、本物の殺人かもしれない。 仕方がないので、バイト先の喫茶店で、話を伺う事にした。此所なら、割引きも利くしね。 僕たちは先に僕のバイト先『喫茶店 トイ・クッキー』の奥の席に着き、婦人と健吾の到着を待った。 『喫茶店 トイ・クッキー』はこの界隈では、かなりお洒落な店だ。店長の音楽センスも抜群で、八十年代を代表するジャズミュージシャンがスピーカーの中から、ピアノやサックスで音を紡いでいた。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加