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「それだけではないんです。
だいたいの事は、こちらの中岡君がお話ししているそうですが、私を含めた全員に、主人を殺す動機があるのです。
あの時、あの料亭に居た全員にです。
あの人の遺産だけで、何不自由のない暮らしが出来るのですから。
ですから探偵を頼む事さえ、良く思われていないのです。」
婦人の話を聞いて、僕は諦めかけていた。
ところが、天下の変人、片桐良太郎は空気を読んだりは決してしないのだ。
良太郎は婦人の言葉を半分だって聞いていなかったのではないかと思う程、さも当然のようにこう言い放った。
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