御厨家の人々 (翠婦人の長い長い愚痴)

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「その動機についてなんでんすがね、僕はどうしてもわからない」 少しムッとしたような婦人の事を完璧に無視して、良太郎はさらに続けた。 「もし、殺人だとしても被害者の不二男さんは、殺されるにはまだ若過ぎるのです」 翠婦人は綺麗に弧を描いた眉に、可能な限り皺を寄せて、顔全体でハテナマークの変わりをした。 僕の方をチラチラと目で確認し、返答を待った。 しかし、僕にだって意味が解らない。 突然死なら早いと表現するのも解らなくない。 御厨不二男氏のお歳なら、早いと言う事があっても、無理はないだろうが早過ぎるとは言わないだろう。 「…… あの、おっしゃる意味がわかりませんが……」
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