144人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
「何から話せば良いのかしら?」
そう言って翠婦人は語り出した。
なお、これは翠婦人の個人的な印象である事を断わっておく。
「長男の直正は会社での成績も優秀で、人当たりも良く、部下にもかなり信頼はされています。
その反面、女癖が悪くて女子社員に手をだして、またすぐに別に女を作るのです。
泣かされた女子社員は少なくないはずです。」
婦人は『こんな事まで話していいのかしら……』といった表情をして、それから少し考えながら話しだした。
「それに……あちこちで良い人を演じてはいるけど、家では最悪な男です。
お手伝いさんや、執事を怒鳴り散らしてます。
それはひどい扱いをしているんです」
婦人は一瞬だけまた眉間に皺を刻んで、汚い物でも吐き出すように、とあるエピソードを話しだした。
最初のコメントを投稿しよう!