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婦人の話は更に続く。僕達は黙って促した。
「『本当に俺がそんな事を?お父さん、お義母さん、申し訳ありませんでした』ですって!
目に涙まで溜めて……
主人が余所見した瞬間、俯いて笑っていたんですよ。あの人……
子供も子供なら、母親も母親です。あの親子だけは、好きになれません。
あの母親は事ある事に私達の家にやって来てはお金をせびって行くんです……
離婚の時に何十億と言う慰謝料をもらっておいて、まだ足りないのかしら!」
翠婦人は段々興奮し始めたので、少し落ち着いてもらおうと、僕は話に割って入った。
「その慰謝料はどうされたんでしょう?」
婦人は僕たちに存在に気が付いたようで、少し恥ずかしそうに、両手で顔を押さえて下を向いた。
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