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まあ、殴るのは我慢してやる事にして、質問をつづけた。
「その時も警官の制服を来ていたんですか?」
「すいません。そんな事まで聞いていません」
翠婦人は申し訳なさそうにして、またコーヒーを掻き混ぜた。
翠婦人の姿に、こちらも申し訳ない気持ちになり、質問をし直した。
「他に御主人を見た人はいませんか?」
翠婦人はクルクルと渦を巻くコーヒーグラスの水面を見ながら、気まずそうに言った。
「お手伝いの智子さんが……」
驚愕した僕は身を乗り出して尋ねてしまった。
「御厨家のお手伝いさんですか?」
「はい。智子さんが主人を見たのは、その……家の庭の中でです」
翠婦人はこの時初めて恐怖の表情を作った。
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