せっかちな死体
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十七時二十六分を少し過ぎた頃、男はいつもの料亭で、家族と食事を楽しんでいるふりをしていた。 二人の息子たちも、後妻も、男の財産が目当てで家族ごっこをしていると思っていた。男は、作り笑いを浮かべたまま、日本を代表するその高級食材に箸をつけた。 皿の柄が透けて見える程薄く刺した、フグ刺し。男がフグを四分の一程平らげた時、右手に違和感を感じ、箸を落とした。
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