せっかちな死体

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もし男に、医学的な発想があったなら、あるいはその違和感の正体が、『痺れ』である事に気付いていたかもしれない。 しかし、男は若くして成功を収めた実業家で、しかも今まで風邪と盲腸以外の病気もない。 煙草は吸うが一日十本程度で、酒も呑まない。 週に二回と少ないがジムで汗を流す事を忘れた事も殆どない。 脳梗塞や心筋梗塞などは、程遠い物と考えていた。 だから、男には、『痺れ』という概念が存在しなかった。
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