村雨

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しかし予想していたような衝撃が訪れることはなかった。 眼を開くとすんでのところで馬は止まっている。 顔を上げると馬上には鎧に身を包んだ侍が乗っていた。 村で侍を見ることはあまりなかった。 年に何回か長者の家に来ているのを見たことがあるくらいだ。 みんな怖い顔をしていた。 遠くの村が皆殺しにされたとも聞いた。 自分の為なら親をも殺すとも。 あたしにとって侍は恐怖でしかなかった。 ここで斬られてしまうかもしれない。 妹だけは守らなければならない。 そんな考えだけが頭をよぎった。
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