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部屋を出てすぐ。
廊下をこちらへと向かってくる極彩色の美しい着物を見た。
綺麗な蝶のような人。
加代といっただろうか。
あたしの姿を見るとその紅を差した口は笑った。
「そなた、政宗様を怒らせたそうじゃな」
あの夜のことは、城の中に広まっているようだった。
「結構なことじゃ。なにせ、昨晩は政宗様が珍しく私のところにおいでくださったのだから。」
この城に来た日のように、口を隠して笑う。
あの日は何も思わなかったのに、その仕草にあたしの心が痛んだ。
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