心臓

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「このまま嫌われていてはくれまいか?私も早く政宗様の子が欲しいのじゃ」 声を上げて笑う。 「里に帰るがよい」とあたしを睨んで言った。 あたしは動くこともできなかった。 何かを言うこともできなかった。 加代は音も立てずに、廊下の奥へと消えてゆく。 あたしの代わりなどいくらでもいるのだと、その美しい姿が言っているようで。
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