心臓
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その白い手はあたしの方に伸びてくる。 姫はあたしの頬に手を当てて言った。 「白粉が涙で崩れてしまって。綺麗なお顔が勿体無い。宜しければ私の部屋で直してゆかれませんか?」 会ったばかりのあたしに慈しみを持って接してくれる。 その手があたしにはとても美しい救いの手に見えた。 「ご迷惑でなければ、お邪魔させて下さい」 同じ政宗様の妻であるというのに。 この人からは棘々としたものを感じない。
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