エピローグ

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桜の蕾が、ピンク色に染まりはじめている 首に巻いたマフラーに顔をうずめ、届いたばかりの封筒を手に、先生のアパートへ走った 「じゃ、開けるか」 「待って!もうちょっと!」 あたしはきりきりと痛みだした胃をおさえた こたつの上には、あたしが持ってきた封筒が置かれている 差出は、あたしが受験した大学からだ 「平気だって。俺がついてんだから」 先生はこたつから立ち上がり、 ぷしゅぷしゅと蒸気をあげていたやかんの火を消しにいく 「そうだよね……」 「がんばったんだろ?」 な?と、優しく笑いかける あたし専用のマグカップに注いだミルクティーを、目の前にコトンと置いた 甘い香りが漂う 「よしっ!開けよう!!」 そう言って、合格通知を取りだしたあたしの薬指には、指輪が光っていた
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