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白川さんはなおも落ち着かない様子で続きを話した。
「私は転びそうになりながら走る治郎に、どうしたのか?とたずねました。治郎は息をきらしながら慌てた様子で私に言ったのです。後藤さんちの定男君が死んじまった!と凄い形相で言うのです。
定男君というのは後藤さんの家に婿養子として来た若い男でした。さっきも言いましたが、私達の村は過疎の村ですので、若い人が亡くなったとなれば大騒ぎになります。それに小さな村ですので噂はあっというまに村中の知るところとなるのです。
私は定男君が亡くなったと聞いて、すぐに後藤さんの家に行きました。
後藤さんの家につくと、私以外にも村の人々がすでに来ていました。定男君はとてもよくできた好青年で村人からの信頼もあつく、したう人が多かったので、亡くなったとは信じられない人が来ていたのでしょう」
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