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ナァーオォ。僕としようよと彼が鳴く。
マァーオォ。僕としましょうと彼も鳴く。
あまいあまい、蜂蜜に黒砂糖を溶かしたような鳴き声で。
では“彼”はと言うと、尻尾を足の間に挟んで、―――――――んにゃあん。
勘弁してください、と、泣いた。
そんなこと言われても、お互いにあれなのであるからして、“彼”は―――――
「…あれ。ケンカ? それとも猫集会?」
――――――人間!
全然わかんなかった! 千太郎さんと柳乃助は…うそ。二人とも気付かなかったの? わっ、わわわ! 襟首掴むのやめてー! あああ、千太郎さんと柳乃助は…うそ。二人とも気付かなかったの? わっ、わわわ! 襟首掴むのやめてー! あああ、千太郎さんと柳乃助がものすごくおっかない顔になってる…! …どうしよう、この人間殺されちゃうかも!
「…なんで怒ってるの? まさかお腹減りすぎて共食いしようとしてたのを横取りしたとか思ってるのかな…猫も猫食べるんだよね。母猫が仔猫食べたりとか」
それはあるけど、そうじゃないよー! 早くオレ降ろして逃げてー!
「じゃあ代わりに…こっちあげるから。この子は見逃してよ。ね?」
この人達がオレのこと見逃してくれるわけ…ん? なんだろうこのいい匂い…
「ほら」
なんかフワフワしてきた…あれ? 千太郎さんと柳乃助がとろーんとしてる……初めて見た。あんなだらしないところ。
「うわー。猫にマタタビってよく聞くけど、キウイでもいいってほんとなんだ…ぐでんぐでんになっちゃった。あっこっちも」
体にちからがはいんないや。なんかすごく気持ちいいなー…
「ちょ、…猫ってこんなに伸びるの? うりゃー」
あ、喉きもちいいー。そうされると勝手に鳴っちゃうんだよなあ。
「うーん。…ねえ、お前……………」
え、なに? うん。なんでもいいよ。
「じゃ、決まり!」
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