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第1話 資金稼ぎ
雨がサァーと降っている。どんよりとした空、薄暗いグレーの雲から降っている。
鳥は軒下に隠れ羽を休め、猫は路地裏の喫茶店の前で寂しそうな声をあげていた。
喫茶店の中に客は居ない、居るのは喫茶店の店主らしき青年が、静かに煙草をくわえながら新聞を広げているだけだった。
喫茶店には、青年が新聞をめくる音と、壁掛け時計の秒針の音しか聞こえない。
突然、入り口のドアがゆっくりと開き、取り付けてあるベルが鳴り響く。
入ってきたのは、泥まみれの作業服を着た少年が一人。顔にまだ幼さが残る少年は全身ずぶ濡れで店に入ってきた。
「ただいま…」
カウンターで新聞を読んでいた青年は一瞬顔を上げ、少年の方を見るが、また新聞の方に目をやってしまった。
「おかえり…、祐一」
祐一と呼ばれた少年は、静かにカウンターの方にきて作業服の内側ポケットからベージュの封筒を取り戻すと、そっとカウンターの上に置いた。
「はい、給料。兄貴、頼むから使い込まないでね…!」
「馬鹿ヤロウ…、俺がいつ使い込んだ?」
新聞を読みながら青年は即答で返す。
「一昨日の夜にクラブで2万使い込んだ」
青年の即答に対し、祐一もまた即答で返した。
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