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青年はチッと舌打ちをして、読んでいた新聞を折りたたみ、祐一の顔を睨みつける。
「何処で、それを聞いた!」
青年は怒鳴り口調で祐一に当たり散らす。青年の態度に対して、祐一は冷静に口を開く。
「彩(サヤ)から聞いた、アイツ…あそこでバイトしてるから」
「またアイツか!俺の行く先々で、あの女に会うのはどうしてだ!?」
祐一は青年と視線を合わさずに即答した。
「兄貴の金遣いが荒いから、俺が彩に頼んだんだ。店の経営を考えるにしてはクラブでの2万は意味が分からないし、ただ単に踊りたいだけならダンサー仲間と踊ればいい」
「…」
「とすると、あとは女か…」
祐一は青年を見下ろしながら溜め息を吐いた。
一方の青年は、こめかみをピクピクさせながら、祐一を更に強く睨み付ける。
「お…お前は知ってたんじゃないのか?両親の死の真実を…、知ってて止めなかった!俺は何も知らないから、色んなとこに行って調べていたんだ。だから、女じゃない!!」
青年の目つきが真剣なものに変わった。
「…、真実かぁ…。話してやっても良いけど、取り敢えず今は店の繁栄の事だけに専念してよ…、話はいつか必ず話すからさ」
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